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店の奥にある工房で、毎日黙々とお菓子を作り続けている店主。その経歴と菓子づくりへの想いをお伝えします。
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実家は1927年創業の卵ボーロ専門工場だったんです。お菓子は身近な存在だったし、食べることも大好きだったので、菓子職人になることは自然な流れでした。卵ボーロって、赤ちゃんやお年寄りの口に入る食べ物ですよね。だから特に衛生面には気を配って、香料・着色料・膨張剤といった添加物は一切使用しない。そんなこだわりをしっかり受け継ぎながら、卸ではなく自分のお店を持って、お客様の顔が見える形で仕事をしたかったんです。この夢を影ながら支えてくれた妻とは、実は修業時代のパティスリーで知り合いました。当時彼女は大学生でしたが、今も変わらない笑顔で、接客や経理、ブログの更新などひとりで何役もこなして、テキパキと店を切り盛りしてくれています。
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旧東海道沿いの北品川商店街は、宿場町の面影が残る情緒あふれる街です。この場所に出会ったとき、かつてたくさんの旅人たちが行き交ったであろうこの街道の、土産物屋になりたいと感じました。だから今、地元の皆様がふらりと立ち寄って、ご自分用のお茶請けや、大切な人への手土産を探しに来てくださったりするのがとても嬉しい。特別な日にだけではなく、毎日でも食べられる、飽きのこないお菓子を作り続けていきたいです。私は趣味でバイクに乗るのですが、旅に出ると、その土地らしいものを家族や大切な人へのお土産にしよう、なんて思いますよね。インターネットのある現代だからこそ、古の人々が気の遠くなるような時間をかけて旅した距離を軽々と越えて、孝庵のお菓子をお届けすることもできます。孝庵の看板商品『宿場ロール』や今後開発するお菓子が、そんな風に、人と人、人と場所を繋ぐお菓子になれたらと願っています。
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1968年10月31日東京生まれ。生家は老舗卵ボーロ製造会社 田中屋製菓(株)。製菓専門学校を卒業後、湘南地区のパティスリーで修行。1994年より田中屋製菓の洋菓子部門として欧風菓子工房ラプンツエルをオープン。2007年12月に独立し、旧東海道品川宿に「品川菓匠 孝庵」をオープン。
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